記憶にとどめるべき台風
2024.11.21
台風とは熱帯低気圧が発達し、風速17.2m/秒を越えたものと言われてきた。ところが、2016年8月に発生した台風10号、そして2017年の台風5号は温帯低気圧が発達し、台風に変わった。どういうことか。この2つの台風が発生した場所ははともに伊豆諸島の八丈島沖、北緯33度辺りの紛れもない温帯地域だ。
2016年の台風10号は特に印象的だった。8月の19日前後に発生し台風と認定されるが、その後取り消され、21日に四国の沖合でしばらく停滞し、そこで気象庁によって再び台風として正式に認定された。その後8月30日に岩手県に上陸。10日以上にもわたって太平洋上を行き来し、そして初めて東北地方を直撃した台風として有名になった。「温暖化はここまで来たか!」、と。
印象的であったのは以上のことだけではない。私は偶然にもこの年は旅行で福岡にいた。8月28日から福岡に滞在し30日に東京に帰る予定だった。台風の影響で飛行機便の予定が変わるかもしれないと思い、夜はテレビの台風情報を真剣に食い入るように見ていた。幸い、台風の方が先行して東に向かったため、予定通りに空路、東京に帰ることができた。
問題はそのテレビの台風についての解説だ。名前は忘れたが、東大の教授という人がこの特異な動きをした台風について、「これは温暖化のせいで四国沖の海水温が8°Cほど高くなっていたために、その場所で勢力が強くなったのです」と発言。目が点になるという言葉はあるが、このとき私の耳は点になっていたかもしれない。「大気が温暖化したせいで海水温が8°Cも上がるか?」、と心の中で叫んだ。
「水の比熱は大きくて(温まりにくく冷めにくい)、空気の比熱は小さい(温まりやすく冷めやすい)。仮に気温が水温より20°Cも高ければ長い間には海水を8度温めることも可能かもしれない。しかし世に言う温暖化は、1950年から現在までわずか0.5°C~0.6°C上昇している(IPCC気候変動政府間パネルの発表)に過ぎないのだぞ!」これも私の心の中の叫び。一人で旅行していたので、話す相手がいなかったため。
問題は温帯地域に発生した台風の原因を安易に、気温の上昇、つまり温暖化と結び付ければ済むことではない。もしもこの教授が指摘した通りに海水温が8°C上昇していたとすれば(調べる方法があるのなら私も調べたい)、この海水温の上昇の原因こそ究明しなければいけないのではないのか。
一つや二つの特異な事例から一般的な結論を導き出すことは危険かもしれない。しかし、明らかに私たちが体験したことのないことが起こってきていることも確かだ。この原因は二酸化炭素ではないだろう。個人的には答えを用意しているのだが、まだ素人考えに過ぎないので、もう少し学んでからにしたいと思う。
いずれにしても、海水温の上昇という事態は真剣にその原因が追究され、防止されなければいけないもう一つの地球温暖化問題であろう。